今回は実際に再開発が進行している現場を見てみたいと思います。
8月22日に森ビルが再開発の計画をプレスリリースしました。 → 虎ノ門・麻布台プロジェクトニュースリリース
実は、この地区は、私が大学1年生、大学3年、大学4年、社会人2年と定期的に観察してきた場所でした。
今回は、その麻布台再開発地区の、再開発前の様子を紹介したいと思います。
虎ノ門・麻布台プロジェクトの位置
虎ノ門・麻布台プロジェクト(再開発地区)の場所は、下の地図で示した場所です。
アークヒルズや六本木ヒルズに囲まれた場所であり、開発主体の森ビルが、周辺地域を一体的に経営しようとする意図が見えます。
森ビル以外にも、森トラストや住友不動産が再開発した地区に囲まれた地域です。
虎ノ門・麻布台プロジェクトの地形
地形的な話をすると、虎ノ門・麻布台プロジェクトは、武蔵野台地の中の谷間に位置しています。小規模な谷地形です。
江戸時代には下級武士(足軽)が集住していた地域でした。ジメジメした小さい谷間には大名などは住まないのです。
再開発が進み、"未開発"の土地が少なくなる中で、このような住宅が密集する谷地へも、再開発が進んでいます。
それでは、2007年の写真から順番に、再開発の様子を見ていきましょう。
2007年
こちらは2007年の写真再開発に向けて買収された様子の家 狭い路地で防災上の危険がわかる |
2013年
2013年12月の様子です。まだ買収されていないのかギリギリ生き残っている路地 |
東京最古?と言われるかぎ型街路 向こうには買収済みの遊休地による駐車場 |
2016年
こちらは2016年5月の写真。買収済みの家屋 |
買収済みの建物 |
2017年
こちらは2017年の写真地区入口から再開発地区を望む |
再開発に向けて一時的に駐車場になっている場所 |
2018年
こちらは2018年8月の写真これからの解体工事を待つ家 ドアには森ビルの看板が貼られている |
解体工事中 |
解体工事と駐車場(再開発前の遊休地) |
進む解体工事 |
工事中と 森ビルによる「立ち入り禁止」看板 |
買収された家 ネットが家全体にかけられています |
森ビルが買収済み?のマンション |
再開発から外れた場所はひっそりとしていますが 人の住んでいる様子が伺える |
雑居ビルが解体されて真っ新になっていました |
解体工事が急ピッチに進んでいます |
2019年12月
再開発事業が本格的に開始した2019年12月15日の写真です。一気に取り壊しが進み、更地が広がっています。
工事が開始して、再開発地区を通る道は通行不可に |
更地に |
木造密集地が広がっていた場所は更地に |
工事中 |
再開発高層ビルを建てるクレーンがたくさん! |
以上、2007年・2013年・2016年・2017年・2018年・2019年の写真を並べました。
経年変化を観察しようなんていう気もなく、適当に撮った写真なので、定点でもなくわかりにくくて申し訳ないです。
まとめにかえて
さて、再開発前の地域では、建物が買収されて解体が進んでいるものの、そこで生活していた人たちの息遣いが感じられます。再開発によって、確実に住民の生活は変化します。「こんなにたくさんの住民を移転させていいのか」と疑問に感じる一方で、古くなった家に囲まれた古い路地を見て「防災上の危険がある地域で再開発もやむを得ない」とも感じていました。
再開発で、地域は幸せになるのか、地域を幸せにする再開発にするにはどうすればいいのか、再開発後の大きなビルを見るだけではなく、みんなで向き合うべき課題かもしれません。
地理学では、再開発の合意形成に関する研究は一定の蓄積があります。
地域住民が再開発賛成と反対に分かれたりだとか、行政の後押しがあったりだとか。
しかし、そこに住んでいた住民が再開発を機に、どのような生活の変化を受けたのか、今まで聞いたことがありません。
それは、非常にプライベートな問題であり、一般化できない話であることが大きいと思いますが、再開発の実態を掴むのに、移転した住民の動向は重要なのではないでしょうか。
今後の研究の発展に期待です。
(追記:2019年12月15日:再開発事業本格始動の写真を追加)
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