2019年9月28日土曜日

虎ノ門・麻布台プロジェクト 大規模再開発の序章

以前に、都心再開発の概論を書きました → 都心再開発概論

今回は実際に再開発が進行している現場を見てみたいと思います。

8月22日に森ビルが再開発の計画をプレスリリースしました。 → 虎ノ門・麻布台プロジェクトニュースリリース
実は、この地区は、私が大学1年生、大学3年、大学4年、社会人2年と定期的に観察してきた場所でした。
今回は、その麻布台再開発地区の、再開発前の様子を紹介したいと思います。

虎ノ門・麻布台プロジェクトの位置


虎ノ門・麻布台プロジェクト(再開発地区)の場所は、下の地図で示した場所です。
アークヒルズや六本木ヒルズに囲まれた場所であり、開発主体の森ビルが、周辺地域を一体的に経営しようとする意図が見えます。
森ビル以外にも、森トラストや住友不動産が再開発した地区に囲まれた地域です。

虎ノ門・麻布台プロジェクトの地形


地形的な話をすると、虎ノ門・麻布台プロジェクトは、武蔵野台地の中の谷間に位置しています。小規模な谷地形です。
江戸時代には下級武士(足軽)が集住していた地域でした。ジメジメした小さい谷間には大名などは住まないのです。
これまでは、台地上の大名屋敷の土地を引き継いだ土地が再開発の対象とされてきました。
再開発が進み、"未開発"の土地が少なくなる中で、このような住宅が密集する谷地へも、再開発が進んでいます。

それでは、2007年の写真から順番に、再開発の様子を見ていきましょう。

2007年

こちらは2007年の写真
再開発に向けて買収された様子の家
狭い路地で防災上の危険がわかる

2013年

2013年12月の様子です。
まだ買収されていないのかギリギリ生き残っている路地
東京最古?と言われるかぎ型街路
向こうには買収済みの遊休地による駐車場

2016年

こちらは2016年5月の写真。

買収済みの家屋
買収済みの建物


2017年

こちらは2017年の写真
地区入口から再開発地区を望む
再開発に向けて一時的に駐車場になっている場所

2018年

こちらは2018年8月の写真
これからの解体工事を待つ家
ドアには森ビルの看板が貼られている
解体工事中
解体工事と駐車場(再開発前の遊休地)
進む解体工事
工事中と
森ビルによる「立ち入り禁止」看板
買収された家
ネットが家全体にかけられています
森ビルが買収済み?のマンション

再開発から外れた場所はひっそりとしていますが
人の住んでいる様子が伺える
雑居ビルが解体されて真っ新になっていました
解体工事が急ピッチに進んでいます

2019年12月

再開発事業が本格的に開始した2019年12月15日の写真です。
一気に取り壊しが進み、更地が広がっています。
工事が開始して、再開発地区を通る道は通行不可に
更地に
木造密集地が広がっていた場所は更地に
工事中
再開発高層ビルを建てるクレーンがたくさん!




以上、2007年・2013年・2016年・2017年・2018年・2019年の写真を並べました。

経年変化を観察しようなんていう気もなく、適当に撮った写真なので、定点でもなくわかりにくくて申し訳ないです。

まとめにかえて

さて、再開発前の地域では、建物が買収されて解体が進んでいるものの、そこで生活していた人たちの息遣いが感じられます。再開発によって、確実に住民の生活は変化します。
「こんなにたくさんの住民を移転させていいのか」と疑問に感じる一方で、古くなった家に囲まれた古い路地を見て「防災上の危険がある地域で再開発もやむを得ない」とも感じていました。
再開発で、地域は幸せになるのか、地域を幸せにする再開発にするにはどうすればいいのか、再開発後の大きなビルを見るだけではなく、みんなで向き合うべき課題かもしれません。

地理学では、再開発の合意形成に関する研究は一定の蓄積があります。
地域住民が再開発賛成と反対に分かれたりだとか、行政の後押しがあったりだとか。
しかし、そこに住んでいた住民が再開発を機に、どのような生活の変化を受けたのか、今まで聞いたことがありません。
それは、非常にプライベートな問題であり、一般化できない話であることが大きいと思いますが、再開発の実態を掴むのに、移転した住民の動向は重要なのではないでしょうか。
今後の研究の発展に期待です。


(追記:2019年12月15日:再開発事業本格始動の写真を追加)

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